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子どもが言うことを聞かない。そんなときの魔法のルーティン。それはまず、子どもの真似をすること!

幼児期の子どもは成長とともに自我が芽生え、いろいろなことに興味を抱き、言葉も少しずつ話せるようになり、自分でたくさん動きたがると思います。そのため、以前ほど付きっきりでそばにいなくてもよいのでは?と思うかもしれません。けれど、そんな時期だからこそ、お子さんとのコミュニケーションが大事。子どもが言うことを聞いてくれない、そんな悩みも解決できる、魔法のルーティンをご紹介します。

幼児期に大切にしたいのが、ノンバーバルコミュニケーション

コミュニケーションには、「バーバルコミュニケーション」と「ノンバーバルコミュニケーション」の2つがあります。言語があるものか、言語が関わらないものかというざっくりとした認識でよいと思います。幼児の場合、言葉の数がまだまだ少ないので、重要視したいのは「ノンバーバルコミュニケ―ション」です。
言葉を使わないコミュニケーションも、ときにはよいものですよ。

忙しい時代だからこそ意識したい、子どもと目を合わせるということ

現代の生活はかなり忙しく、ときには、親子のコミュニケーション不足という問題も出てくると思います。「忙しい」という字を分解していくと「心」が「亡くなる」と書きますよね。
お子さんと会話をしていて、自分が言ったことを子どもがよく理解できずに、してほしいことと違う行動をしたとき、思いがけず怒ってしまったという経験はないでしょうか?
「忙しい!」と感じたときこそ、言葉を使わずに子どもと一度目を合わせて(ノンバーバルコミュニケーション。これもちゃんとしたコミュニケーションの一つです!)、ひと呼吸を置いてから話してみてください。
親のほうは心が一瞬落ち着いた状態で話すことができますし、子どもも「聞く」という心の準備ができます。

子どもと目を合わせることが大事

言うことを聞いてくれないときは、まず子どもの真似をしてみる

目を合わせてから話し始めてみても、ときには子どもが言うことを聞かないというケースも出てくると思います。そんなときの対処法は、積極的に「お子さんの真似」をして歩み寄ってみることです。
真似をするとは、具体的にはどういうことかと言うと、子どもが笑ったら大人も笑う。ジャンプをしたらジャンプをする。椅子に座ったら椅子に座る。このように、子どもとまったく同じ行動をしてみてください。

真似をすることで歩み寄る

これは、心理学の分野のカウンセリング時によく使われる「ペーシング」という技法です。例えば、今、嫌いな人を思い浮かべてみてください。その人と話すとき、正直言うと、目も合わせたくないと思う方もいるでしょう。つまりは距離を取りたい。そんなときに嫌いな相手が近寄ってきて目を合わせようとしてきたら、かなりの不快感ですよね。
反対に、自分の憧れの人を思い浮かべてみてください。芸能人でもよいですし、身近な人でもよいです。その人には手が届かないかもしれないですが、「少しでも近づきたい!」と思い、服装を真似てみたり、髪形を真似てみたりすると思います。するとどうでしょう? 親近感が湧いてきませんか?
それと同じことが子どもにも起こります。子どもからしたら、自分と同じことをしている。安心する。嬉しくなって興奮してくる。という感情の変化が起こりやすくなり、心を開くようになるのです。

興奮のあとの「抑制」で人の話が聞けるようになる

このとき、子どもの脳内には「ドーパミン」という物質が出ています。これは快楽を司るホルモンの一種です。ただし、ここで気を付けないといけないことがあります。
「ドーパミン」は「アドレナリン」の前駆体でもあるため、「アドレナリン」に変えないことが大事なのです。その理由としては、「アドレナリン」になると、戦闘モードに入りやすいから。そうなると、子どもはますます人の話を聞かなくなってしまいます。
実際に「アドレナリン」が出てしまっている子どもは、どんな状態になると思いますか? 
わかりやすいシグナルの一つは、ギャーという「叫び声」です。例えば、追いかけっこをしていて、最初は笑い声だったのが、楽しくなって興奮しすぎると叫びながら走る子どもがいると思います。あれは「ドーパミン」を通り越して「アドレナリン」側に傾いているサイン。そうなった子どもは、ほとんど言うことが耳に入ってきません。
この叫び声に変わる瞬間は、運動をしているときに限らないので、見極めポイントとして念頭に置いておくとよいと思います。

興奮すると快楽ホルモン「ドーパミン」が出る

話を少し戻しますが、話を聞いてもらう対処法としてまずは、「ドーパミン」が出る状態まで、真似をしたりして子どもを興奮させます。そのあとに「抑制をかける」というのがポイントです。抑制をかける具体例としては、テーブルに座って塗り絵をさせる、秒数を設けて(最大15秒。これは人間が単純作業で集中力が続く時間です)しゃべらずに座り続けてもらうなどでよいと思います。「ドーパミン」が出てから抑制がかかると、腸内で「セロトニン」という幸せホルモンが出始め、人の言うことを聞けるようになります。

興奮のあとの抑制で幸せホルモン「セロトニン」が出る

最後に、僕が子どもたちに運動を教えるときよく使う抑制方法をお伝えしましょう。
10分ほど走る→グージャンプやスキップなど、ウォーミングアップ→10秒間片足立ちバランス→忍者になって静かに動く→お山座り(体育座り)で10秒間待つ。
こんなふうにレッスンを組み立てていくと、60分という子どもにとって比較的長い時間も集中力がそんなに途切れることなく、人の話を聞きながらレッスンに参加できるようになっていきます。
ぜひ皆さんもお子さんとのコミュニケーションの際には、真似をして興奮させてから抑制をかけるという手順を試してみてください。

参考文献:『交流分析にもとづくカウンセリング』(倉成宣佳著/ミネルヴァ書房)

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