子どもに好きなスポーツを見つけてあげたい。そう願う親御さんは多いでしょう。そこで、トップアスリートたちに、いつどんなきっかけでそのスポーツを始めたのか、親は何をしてくれたのかなどをリトルアスリートクラブ代表トレーナー遠山健太がインタビュー。
今回は、3度のオリンピックを経験した現役のセーリング選手 、吉田愛さんの登場です。後編では、2歳になる息子さんの運動子育てについての考えをうかがいます。
息子にはまず運動の基礎を! 全身を使って思いっきり動き回ってほしい
遠山:息子さんはもうすぐ2歳ですよね? 大会には一緒に連れて行かれるのですか?
吉田さん:連れて行くときと、実家の母に預けるときと分けています。今、主人はチームのコーチをしているので、母も含めて家族で海外遠征というときもあります。
遠山:どんなふうに育てていきたいですか?
吉田さん:のびのび育ってほしいですね。親としては、自分に足りなかったこと、自分がやりたかったことを、やらせたいという思いはあります。
その一つが語学です。今、世界中を大会で回っていますが、英語ができるほうではないので、息子には英語をしゃべれるグローバルな子になってほしいな、と。
あとは、運動ができる子になってほしい。私はセーリング競技をやってきましたが、運動そのものはどちらかというと苦手。かけっこが速いとかサッカーがうまいとかと真逆なタイプなんです。
遠山:体育の時間に苦労したほうですか?
吉田さん:そうです、いわゆる普通のスポーツができないんです。だから、息子には運動の基礎を身につけさせたい。2歳になったら体操クラブに入れたいなと思っているんです。

いろいろな体験していく中で、子ども自身に好きなスポーツを見つけてほしい
遠山:息子さんには、海の楽しさも伝えていきたいですよね?
吉田さん:海には、生まれてすぐから一緒に行くことが多いので、そこは私と主人とで教えてあげられると思います。それ以外の分野に関しては、私が大会に出ているときなどは、母にも協力してもらって、いろんな経験をさせてあげたい。私自身、小さいころからたくさん体験させてもらい、そのおかげで、ヨットにも巡り合えたましたから。
まずは体操クラブです! 全身を動かしてとんだりはねたりさせたい!
遠山:基本的な体の動かし方を身につければ、スポーツは子どもが自分で選べばいいですものね。吉田さんの場合、運動が苦手と言いながらも、自分に合うスポーツを見つけてオリンピアンまでなられた。そこまでいかなくても、どんな子にも向いているスポーツがあると思うんです。好きなスポーツが見つかると、人生楽しいですよね。
吉田さん:そうですね。私の場合、それがセーリングですが、競技はいつまで続けるかは未定ですけれど、生涯やっていきたいスポーツですね。海外に行くと、すごく腰が曲がったおじいちゃんとかが一人でヨットに乗って楽しんでいますから。

3歳になったら高尾山に登る。実家の風習を息子にも!
遠山:吉田さんの家には高尾山にまつわる風習があると聞きましたが…。
吉田さん:はい。うちの実家では3歳になったら高尾山に登ります。「子どもの足腰を強くしたい」という両親の思いから始めたようです。とはいえ、まだ3歳ですから、途中で「やだ、やだ」と駄々をこねたと思うんですけれど、「やだ」と言ったらそこで止まってお菓子を食べたりしながら、なんとか一人で頑張らせる。頂上までは絶対抱っこしてくれませんでしたね。一人で達成することへの挑戦だったと思います。
遠山:3歳児だとかなり大変ですね。
吉田さん:私に始まり、妹、弟、そして、甥や姪も挑戦しました。うちの子も3歳になったら、一緒に登りたいなと思っています。
遠山:うちの会社でも、高尾山で親子の登山イベントを行っているんです。高尾山はふもとと頂上で景色も違うし、生えている植物も生息している動物も違う。登山の醍醐味を味わえるのがいいですよね。
吉田さん:季節によっても表情が変わり、四季折々楽しめます。遠征から帰ってくると八王子の実家に戻るのですが、今でも、「ちょっと山登り行こうか」くらいの気軽な感じで行きます。半日くらいで行けるのでちょうどいいんですよね。

子どもがヨットに興味を示したら、ヨットハーバーでの体験や観戦を!
遠山:うちは、小学生の子どもが2人います。上は6年生になりますが、まだ、一つにスポーツを絞っていないので、週末一緒に何かにトライしたり、スポーツ観戦に出かけたりしています。セーリングはまだなので、まずは観戦に行きたいですね。
吉田さん:ワールドカップが8月にあるので、ぜひ江ノ島に来てください。競技は沖でやるので、直接は見られないんですけど、ヨットハーバーの会場内にモニターがあります。そこで映像を見たり、GPSで位置や風の向きがわかるので、楽しめると思います。
遠山:ハーバーに行けば、自分の体で風の向き、強さなどを感じることができるのがいいですよね。子どもにヨットを体験させたいと思ったらどうすればいいのでしょう?
吉田さん:ヨット教室に参加するのがいいと思います。私が最初に体験したような1日体験教室が全国のヨットハーバーで開催されていると思います。高校や大学になれば部活としてもできます。そこから始めても生涯楽しめるスポーツだと思います。
前編はこちら↓↓↓
【セーリング選手 吉田愛さん-前編-】小1のとき、大海原で自由自在にヨットを操る楽しさを知り、遊ぶ感覚で親しんできた